MPCシリーズは、スタジオでも外出先でも場所を問わずユーザーにリエイティブ・コントロールを提供します。
スタンドアローンモードは、柔軟なクリエイティブ・プラットフォームを提供しますが、MPCを単体で使用している間にパフォーマンスの問題を経験するユーザーもいます。他のデジタル機器と同様に、MPCはパフォーマンスに影響を与える可能性のある様々なリソースを持つ複雑なオペレーティングシステムを備えています。
このガイドでは、MPCシリーズをスタンドアローンモードで使用している際に、ユーザーが遭遇する一般的な問題の解決の助けとなるでしょう。
この記事の目的は、すべての問題を完全に診断することではなく、各ユーザーが問題の原因を認識し、判別することを支援することです。
避けたいことが2つあります:
小さな問題を抱えたユーザーに、大きな問題があると思い込ませること。
大きな問題を抱えているユーザーを、自分たちの問題は軽微なものだと断じること。
この記事では、問題をより的確に診断し解決するために、症状、問題の説明、解決策、その他のアドバイスを含む一連の情報を紹介します。
目次
・デモプロジェクトによるトラブルシューティング
・システム警告
・システム・リソースのチェック
・古いファームウェア
・USBハードディスク・ドライブの故障、磨耗、誤操作
・デモプロジェクトによるトラブルシューティング
トラブルシューティングの最初のステップは、原因を突き止めるまで、問題になりうる因子を取り除くことです。MPCの場合、これらの因子に、個人のサンプル、ストレージデバイス、プロジェクトファイル、設定、などが含まれます。
スタンドアローン MPC でフリーズのトラブルシューティングを始めるのに最適な方法の 1 つは、スタートアップスクリーンを使ってデモプロジェクトを開くことです。デモプロジェクトはMPC上で完璧に動作するように設定されており、MPCにネイティブなサウンドやパターンのみをフィーチャーしています。もしデモプロジェクトを起動し、MPCにフリーズやレイテンシーの問題が起きくなったのであれば、それはあなたのMPCがハードウェアの故障ではない可能性が高いです。このフリーズの発生の原因は、個々のプロジェクト、またそれらのプロジェクトで使用されているサンプル、そしてそれらのサンプルが保存されている外部ストレージデバイスを詳しく調べてみる必要があるかもしれません。
・システム警告
レイテンシーやフリーズの問題が発生しているプロジェクトを再開し、作業を続けると、MPCのシステム警告メッセージのひとつがトリガーされることがあります。MPC ハードウェアの使用中に、アクションを完了するのに十分なメモリ(RAM)がない(There is not enough memory)という警告が表示された場合は、以下の操作を行って使用可能なメモリを増やしてください:
・プロジェクト内の全てのオーディオトラックがレックアームされていないことを確認します。
・プロジェクトのサンプルプールから警告が表示される前にあったサンプルを削除します。
サンプルはプロジェクトに追加されると、素早くアクセスして再生できるように RAM に保存されます。サンプルをプロジェクトから削除するには(サンプリングタイムやオーディオ録音などのために RAM の空き容量を増やすには)、Purge をタップします。表示された画面で Unused Samples をタップしてプロジェクトから未使用のサンプルをすべて削除するか、All Samples をタップしてプロジェクト(すべてのプログラム、シーケンス、オーディオまたは MIDI トラック)からすべてのサンプルを削除するか、Cancel をタップして前の画面に戻ります。
それでも警告が表示される場合は、以下の操作を行ってください:
1. 警告が表示される前に行った最後の操作を手動で取り消します(取り消し履歴が RAM に保存されるため、
この操作に Undo ボタンを使用できない場合があります)。
2. プロジェクトを保存する。
3. 以下のいずれかを行い、保存したプロジェクトを再度ロードします。
・Main Modeで、画面上部のフォルダアイコンをタップし、画面下部のNewをタップします。
・MPCハードウェアの電源を切り、再度入れます。
・Menuを押し、歯車のアイコンをタップしてPreferencesを開きます。
画面下のResetをタップし、OKをタップし、RestartをタップしてPreferencesをリセットします。
・コントローラーモードに入り、再度スタンドアロンモードに入ります。
複数のファイルを一度にロードすることは可能ですが、プロジェクトにロードしたサンプルは自動的にフル品質の非圧縮オーディオファイルに変換されるため、外部ストレージデバイスに保存するよりも多くのストレージスペースを使用する可能性があります。このような理由で一度に複数のファイルをロードできない場合は、より少ないファイルを選択して再試行してください。
・システムリソースのチェック
作業中に警告が表示されない場合、MPC のMain Modeメニューから利用可能なバッテリーまたはシステムリソースバーのいずれかをクリックして、MPC のSystem Resourcesパネルに移動してみてください。下図のような画面が表示されるはずです。
このウインドウのインジケータは現在の使用統計を示します:
・Battery:MPC Live または Live II を内蔵バッテリーで駆動して使用している場合、最初のインジケータは
現在のバッテリー残量をパーセンテージで表示します。(MPCライブとMPCライブIIの内蔵バッテリー
について詳しくはバッテリー使用状況をご覧ください)
・CPU: CPU インジケーターは現在の CPU をパーセンテージで表示します。このインジケータが満タンに近い
場合、フリーズすることがあります。トラックを使用していないときは、不要なプラグインやエフェクト
を無効にしてみてください。
・RAM使用量: MemインジケーターはMPCハードウェアの現在のRAM使用量を示します。
・Drives: Drives インジケーターは、検出された外部ストレージデバイス、または MPC X、MPC Live、
MPC Live II、MPC One の内蔵ドライブで使用可能なストレージスペースを表示します。
・古いファームウェア
MPCシリーズのファームウェアとソフトウェアは、機能の追加やバグに対処するために頻繁に更新されています。MPCハードウェアとMPCソフトウェアの両方が常に最新であり、ハードウェアとソフトウェアのバージョンが一致していることを確認することが重要です。
製品ページから最新のファームウェアバージョンをダウンロードし、同梱されている説明書に従って慎重にMPCのファームウェアをアップデートしてください。まだ最新のファームウェアバージョンでない場合のみ、ファームウェアのインストールを試みてください。
・USBハードドライブの故障、磨耗、管理ミス
システムやファイル管理への誤解によって、MPCでの遅延、スローレスポンス、フリーズを招くことがあります。コンピュータと同じように、USBドライブが最高の状態で動作するようにあらゆる手段を講じる必要があります。場合によってその手段は、データベースを削除して再インストールするだけではありません。
FAT32はMPCで使用する最も一般的なドライブフォーマットで、適切に使用すれば、フリーズや遅延の問題を経験することはありません。FAT32について覚えておくべき最も重要な事は、時間の経過とともに単純なファイルのロードや再ロードをうまく処理できなくなるということです。このフォーマットは、たとえドライブからすべてのファイルを削除したとしても、バックエンドのファイル構造を保持します。つまり、ファイルのデータは、たとえあなたが見えていないところでも、ドライブ上に保持され、情報が蓄積され、システムを停滞させる原因となるのです。
ファイルの数が少なくても、ドライブのパフォーマンスが低下している場合は、ハードディスク・ドライブを再フォーマットすることをお勧めします。これは通常、ドライブを再フォーマットしてデータベースを再読み込みする時期が来たことを意味します。
フリーズのトラブルが続く場合は、別のUSBドライブを試してみてください。ほとんどのアーティストは、バックアップ用のドライブを複数用意しています。データベースが新しく、ドライブが安定していて、正しくフォーマットがされていれば、フリーズの問題は発生しません。