プログラムはMPCワークフローの構成要素です。
プログラムはインストゥルメント=楽器と考えることができます。
バンド演奏と同じように、複数のインストゥルメントのシーケンスを組んで曲を作ります。
MPCシリーズには6種類のプログラムがあります: ドラム、キーグループ、プラグイン、MIDI、クリップ、CVです。
この記事では、それぞれのプロパティと、プロジェクトにロードする方法について説明します。
さっそく見ていきましょう。
目次
MPCは非常にモジュール化された設計になっています。
基本的な要素は、大きいものから順に、ソング、シーケンス、トラック、そして最後にプログラムです。
MPCのワークフローの基本的な内訳はこの図に示されています:
ソングは、様々な順序で配置されたシーケンスで構成された完成形です。
シーケンスは、コーラス(サビ)、バース(Aメロ)、ブリッジ(Bメロ)のように、ソングの一部と考えることができます。
各シーケンスは、オーディオトラックまたは MIDI トラックで構成されます。
MIDIトラックはプログラムを送信します。
ご覧の通り、プログラムはこのワークフローの中で最も小さな構成要素です。
簡単に言うと、プログラムはドラムキット、ベース、シンセのような楽器です。
もう少し詳しく見てみましょう。
ドラム・プログラムは最も一般的なプログラムタイプで、MPCのワークフローには欠かせないものです。
ドラムプログラムは16個のパッドにアサインされたサンプルのコレクションで、演奏可能なキットを形成します。MPCには、ハウス、ヒップホップ、トラップなど、それぞれのスタイルやサウンドのテクスチャーを持った多くの
プログラムがあらかじめ組み込まれており、ブラウザ(Browser)からアクセスすることができます。
インポートしたサンプルを使って独自のドラム・プログラムを作成することもできますが、このチュートリアルでは内蔵キットを使用してみましょう。
1. ドラム・プログラムをロードする前に、トラック(Track)を指定する必要があります。
これを行うには Main ボタンを押します。
2. Track のフィールドに、それぞれ異なるプログラムタイプを表す6つのアイコンが表示されます。
3. Drum のアイコン(パッドのアイコン)をタップします。
4. トラックがアサインされた状態で、Browse ボタンを押します。
5. Content タブに移動し、左上の Drum をタップします。
6. すべての Drum Programs が XPM ファイルとして右側に表示されます。
スクロールするとMPCが各キットが表示され、Audition をタップすることで試聴ができます。
7. 気に入ったDrum Programが見つかったら、選択してプロジェクトにロード(LOAD)します。
8. Main モードに戻り、Drum Program フィールドをダブルタップします。
9. 現在プロジェクトにロードされているすべてのドラム・プログラムのリストが表示されます。
これは、MIDI パターン用に異なるキットを Auditionで試聴する場合に特に便利です。
リストからドラムプログラムを選択します。
10. 16個のパッドが点灯するのは、そのパッドにサンプルと設定(パッドの割り当て、ループポイント、
ピッチ、エフェクトなど)が入っていることを示します。
ドラム・プログラム内のサンプルを表示、並べ替え、交換するには、Browse ボタンを押し、
サンプル・プール(Sample Pool)タブをタップします。
パッドを押して選択し、サンプル・プール・リストからサンプルをダブルタップして割り当てます。
プラグイン・プログラム(Plugin Programs)は、キーボードのように演奏できるバーチャル・インストゥルメントです。
MPCには Bassline、Electric、Tubesynth の3つのプラグインが内蔵されており、それぞれがプリセット(Presets)のサウンドバンクを持っています。
プラグインプログラムをロードすると、MPCのパッドがクロマチック・ピアノ・ロールになります。
バンク(Brank)を変更することで、パッドのオクターブを調整できます。
プラグイン・プログラム(Plugin Programs)のロードするには:
1. Main ボタンを押す。
2. Track フィールドで Plugin アイコン(コンセントのアイコン)を選択します。
3. デフォルトのプラグインがロードされます。
Pluginフィールドをダブルタップして、別のプラグインを選択します。
この例では、Tubesynth を使用します。
4. プラグイン(Plugin)が選択されたので、プリセット(Preset)を選択する必要があります。
Preset フィールドをダブルタップすると、すべてのオプションが表示されます。
5. プリセットを読み込むには、1回タップします。
6. デフォルトでは、パッドは Pad Perform の Notes モードにマッピングされます。
パッドの割り当てを編集したり、Pad Performを無効にするには、ディスプレイ右下のアイコンを
押します。
ディスプレイ下部の Octave +/- ボタンを使って、パッドの演奏可能範囲を広げます。
注意:Pad Perform がアクティブになっている間は、Bank A~C のみ使用可能です。
パッドをBank AからBank Hまでのクロマチック・キーボードとして使用するには、
Pad Perform設定で Off を選択してください。
Pad PerformがOffになっている間、Bank AとBは非常に低い音が出るため、プリセットによって
は何も聞こえないか、低いうなるようなノイズが聞こえるだけです。
Bank C以上は可聴域の音となります。
7. プラグインのパラメーターはProgram Editから調整できます。
GUI(Graphical User Interface)はプラグインのサウンドをカスタマイズするのに便利です。
キーグループ・プログラム(Keygroup Program)は、サンプルをMIDIコントローラーやMPCのパッド上のすべてのキーにピッチングします。
例えば、1つのベース音サンプルを演奏可能なベースプログラム全体に変えることができます。
キーグループ(Keygroup)は楽曲にメロディックな要素を加えたり、ドラムにピッチドレイヤーを作成するのに便利です。
キーグループ・プログラム(Keygroup Program)を作成するには:
1. Main ボタンを押します。
2. Track フィールドに、それぞれ異なるプログラムタイプを表す6つのアイコンが表示されます。
キーグループ(Keygroup)のアイコン(鍵盤のアイコン)を押します。
3. Browse ボタンを押し、Content タブをタップします。
4. すべての内部サンプルを表示するには、サンプル(Samples)アイコンをタップします。
注意:ブラウザで利用可能なオプションを絞り込むには、検索ディレクトリを使用します。
5. リストをスクロールすると、サンプルが表示されAuditionをタップすると試聴できます。
気に入ったサンプルを見つけたら、ダブルタップしてサンプルプール(Sample Pool)にロードします。
6. Sample Assign タブをタップして Sample Pool を表示します。
7. パッドを押してからリスト内のサンプルをダブルタップすることで、サンプルを
キーグループ・プログラム(Keygroup Program)にロードすることができます。
サンプルは自動的に16個のパッド全てに反映されます。
注意:この方法でサンプルをアサインするには Bank A が選択されている必要があります。
8. デフォルトでは、パッドはPad PerformのNotesモードにマッピングされます。
パッドアサインを編集したり、Pad Perform を無効にするには、ディスプレイ右下のアイコンを押します。
ディスプレイ下部の Octave +/- ボタンを使って、パッドの演奏可能範囲を広げます。
注意:Pad Performがアクティブになっている間は、Bank A~C のみ使用可能です。
パッドをBank AからBank Hまでのクロマチック・キーボードとして使用するには、
Pad Perform設定で Off を選択してください。
Pad Performが Off になっている間、Bank AとBは非常に低い音が出るため、
プリセットによっては何も聞こえないか、低いうなるようなノイズが聞こえるだけです。
Bank C以上は可聴域の音です。
9. キーグループ・プログラムの調整が必要な場合は、Menu に表示されている Program Edit ボタンまたは
アイコンを押します。Program Editには様々なパラメーター(フィルター、エンベロープ、LFOなど)が
あり、キーグループ・プログラムをさらにカスタマイズすることができます。
また、キーグループに3つのサンプルレイヤーを追加して、インストゥルメントラックを構築し、
より充実したサウンドのプログラムを作成することもできます。
クリップ・プログラム(Clip Program)は、ループ可能な複数のサンプルを使用します。各クリップ(サンプル)はパッドに割り当てることができ、パッドを押すことでクオンタイズの設定に従ってクリップをトリガーすることができます。これにより、異なるクリップの組み合わせを一緒に起動することで、重層的なパフォーマンスを作成することができます。Ableton Liveを使ったことがある人なら、セッション・ビューと似たようなワークフローになるでしょう。
デフォルトでは、16個のパッドが4つの列に分かれています。各列はミュート・グループ(Mute Group)を表し、1つのパッドがクリップを再生しているときは、同じミュート・グループ内の他のパッドはすべてオフになります。
これにより、類似した他のクリップを手動で停止することなく、クリップを起動することができます。
例えば、Pad 2 を押すとベースクリップが起動します。次に Pad 6 を押すと、別のベース・クリップが起動し、同時に Pad 2のループが停止します。こうすれば、2つのベース・クリップを同時に演奏することはありません。
上記の4列のパッド構成は、物事を簡単にするためのデフォルト設定に過ぎません(例えば、1列目をドラムクリップ、2列目をベースクリップ、3列目をキーボードクリップ、4列目をボーカルクリップに使うこともできます)。Program Edit モードを使えば、パッドを好きな組み合わせのミュートグループに割り当てることができます。これは、その場でリミックスを行う直感的な方法です。
クリップ・プログラム(Clip Program)をロードするには:
1. Main ボタンを押す。
2. Track フィールドで Clip アイコン(四角の中に再生アイコン)を選択します。
3. Browse ボタンを押して、Content タブに移動します。
MPC X または MPC Live を使用している場合、Clip アイコンが表示されます。
これをタップすると、あらかじめロードされているさまざまなクリップ・プログラム(Clip Programs)をAuditionをタップすると試聴ができます。ダブルタップすると、クリップ・プログラムがプロジェクトにロードされます。
MPC One をお使いの場合、ブラウザーに専用のクリップ・フォルダーがないことにお気づきでしょう。
独自のサンプルを使用して Clip Program を作成するか、自身のAkaiアカウントのMy Registered ProductsにあるMPC 2.0 Clip Launch Packをインストールしてください。
スタンドアロンモードで使用するためにMPCハードウェアにExpansionをエクスポートする必要があります。
4. クリップ・プログラムが決まったら、それをダブルタップしてプロジェクトにロードします。
5. Main モードに戻り、Programフィールドをダブルタップして新しく追加したClip Programを選択します。
6. クリップ・プログラムを編集する必要がある場合、またはミュート・グループを別の設定にしたい
場合は、Program Editビューに移動します。
MIDIプログラム(MIDI Programs)は、MIDI Note、CC、Program Change、その他様々な演奏コントロールをMPCの MIDI Outports に送るために使用されます。これらは、外部デバイス(シンセモジュール、ドラムマシン、オーディオインターフェイスなど)の MIDI Input にルーティングすることができます。
区別するために重要なことは、MIDI プログラムはそれ自身ではオーディオ信号を生成しないということです。
その代わり、演奏データを外部デバイスに送り、そのデバイスが入力されたコマンドを実行してサウンドを生成します。
MIDI プログラムは、MPCの MIDI Outports からMIDI データを送信できる唯一の方法です。
MIDI Program を作成するには:
1. Main モードに入ります。
2. Track フィールドの MIDI アイコン(5ピン端子のアイコン)をタップします。
3. Track View アイコンをタップしてI/O設定を開きます。
MIDI Output Portフィールドをダブルタップして、外部デバイスが接続されている MIDI Out Port
を選択します。
例えば、ハードウェアがMPCのMIDI Out Port Aに接続されている場合、MPC Aを選択します。
4. MIDI Output Channel フィールドで、外部デバイスが受信するように設定されている
MIDI Channel(1〜16)を選択します。
5. デフォルトでは、パッドは Pad Perform の Notesモードにマッピングされます。
パッドの割り当てを編集したり、Pad Performを無効にするには、ディスプレイ右下のアイコンを
押します。ディスプレイ下部の Octave +/- ボタンを使って、パッドの演奏可能範囲を広げます。
注意:Pad Performがアクティブになっている間は、Bank A~C のみ使用可能です。
パッドをBank Aからまでのクロマチック・キーボードとして使用するには、
Pad Perform設定で Off を選択してください。
Pad Performが Off になっている間、Bank AとBは非常に低い音が出るため、
プリセットによっては何も聞こえないか、低いうなるようなノイズが聞こえるだけです。
Bank C 以上は聴感上の範囲です。
6. クロックとトランスポートコントロールを同期させたい場合は、Menu ページから
MIDI/Sync Preferencesを開きます。Send で MIDI Clock を選択し、Send MMC を有効にします。
これでMPCと外部機器が同じテンポを使用し、Play/Stopのコマンドを同期するようになります。
このセクションはMPC X、MPC Live II、MPC Oneにのみ関係します。
CVプログラムは、Control Voltage (CV)信号および/または Gate データを標準1/8"(3.5mm)ケーブルで外部シーケンサーに送ることができます。MPCのパッドとQ-Linkは、CV信号を受信できる外部デバイスにパフォーマンスコントロールを送るために使用することができます。
CVプログラムには、4つのハードワイヤード属性CVポート、ゲートポート、モッドホイール、ベロシティポートがあり、多数のコントロールに設定することができます。以下に、使用可能な設定を簡単に説明します:
・CVポート: MPCのパッド C5-G1に対応し、1オクターブピッチあたり1ボルト(0V-5V)を適用。
パッドまたは外部MIDIコントローラーを演奏して、オシレーターのピッチをコントロールできる。
・ゲートポート: パッドを押すと5Vが出力され、ON状態になります。
パッドを離すとポートは0Vに戻り、OFFの状態になります。
エンベロープのトリガーやノートのON/OFFコントロールに使用できます。
・モジュレーション・ホイール: 接続されたMIDIコントローラーまたはMPCの指定されたQ-Linkの
Mod Wheelは、その位置に応じて0V-5Vの値を送信します。
MIDIモジュールやCCメッセージと同様に、モジュラー・システムの様々な
パラメーターをオートメーションするために使用できます。
・ベロシティポート:パッドの強さに応じて0V~5Vの値を送ります。
これは、オシレーターの音量レベルをコントロールするのに使えます。
CVプログラムを作成するには:
1. Main を押してメインモードに入ります。
2. Trackフィールドの横にある、CVプログラムを示すCVアイコンをタップします。
3. プロジェクトにまだCVプログラムが含まれていない場合、新しいCVプログラムが自動的に
プロジェクトに追加され、下のProgramフィールドに表示されます。
プロジェクトに既にCVプログラムが含まれている場合、自動的に選択され、Programフィールドに
表示されます。
4. 別のCVプログラムを作成するには、CV Programフィールド内の左上にある+アイコンをタップします。
新しいCVプログラムが作成され、番号が付加されます(例:CV 002)。
注意:1つのプロジェクトで複数のCVプログラムを使用する場合は、必ず新しいCVプログラム用に
新しいトラックを作成してください。
そうしないと、1つのCVプログラムに加えられたすべての変更が、他のすべてのCVプログラム
に反映されてしまいます。
5. トラックの属性と、モジュラーシステムに電圧を出力する CV ポートを割り当てます。